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    お手入れについて

メンテナンス

「剣道」は多くの道具を使用して行われます。「剣道着」「袴」を着用し、剣道防具と呼ばれる4種の鎧を身に着け、「竹刀」を手に戦います。道具のメンテナンスを行うことで、道具の寿命が延び、より綺麗に使う事ができます。自分なりのメンテナンス方法やこだわりを抱く日が来る時まで、SHINBUが紹介するメンテナンス方法を試してみてください。


また質問等がある方は、ぜひ気軽にSHINBUへお問い合わせください。

「竹刀」のメンテナンス

大事に使っていても、天然素材である竹や皮革を材料に作られている「竹刀」はどうしても「ささくれ(竹の繊維が縦に毛羽立ったような状態)」や「割れ」、「革の破れ」などが発生してしまいます。そのような状態のままで気付かずに使用してしまうと、相手をケガさせてしまうことになりかねません。


安全な竹刀を使うことは自分自身を守ることにもつながります。相手を強い力で打つということは、その反対の力、打った箇所から自分に跳ね返ってくる反発力も生まれており、竹刀はその衝撃をしなりやたわみによって吸収することで剣士の身体をケガから守ってくれているのです。相手はもちろん自分自身のケガも防ぎ、楽しく剣道に打ち込むためにも、使用前後には必ず自分の「竹刀」に不備がないかを点検し、常に安全な「竹刀」を使用するようにしましょう。

使用前・使用後に

まず「四つ割りのピース」、つまり「竹刀」の竹本体にささくれや割れがないかどうかを、竹刀の先端部、相手を打突する箇所を中心に入念にチェックしましょう。ささくれた「竹刀」をそのまま使用すると、竹の破片が飛び、自分や相手の目に入ってしまったり、床に落ちて足を怪我したりする原因となります。内側に割れが発生していると表面からは発見しずらい場合がありますので、指で押してみて異常にしなる(反り返る)などの違和感がある場合は使用せず、指導者に相談することをお勧めします。 次に、「竹刀」の仕組みに使われている付属品をチェックします。「柄」に破れがないか、「中結」や「弦」は緩んだり切れかかっていないか、「先革」が緩んだり破れたりしていないかなどの点に特に注意しましょう。「竹刀」を点検する際は、どうしても竹本体にばかり目がいき、付属品の不備は見過ごされがちです。安全な竹本体と安全な付属品、二つが揃って初めて「安全な竹刀」といえるのです。

「竹刀」の仕組みや手入れは

「竹刀」は剣士にとって最も身近で、最も大事なもののひとつです。そのため、自分なりのこだわりや想いを持って仕組みや手入れをしている方々もたくさんおられることと思います。自分、そして相手の安全を守る、という大前提のもと、自分なりの方法や考え方を見つけ出していくのも剣道の楽しみの一つ。そうすることで「竹刀」に対する愛着もさらに深まるのではないでしょうか。

「竹刀」を保管する時は

「竹刀」の最大の敵は乾燥だと言われています。過度の乾燥状態では「竹刀」に含まれる水分・油分が失われ、軽くなってしまったりもろくなってしまうためです。一方、湿気が多すぎる状態も、カビの原因になったり「竹刀」が水分を含み過ぎてもろくなる原因となってしまいます。「竹刀」を保管する際は、直射日光の当たらない、風通しの良い場所を心がけましょう。特に夏場の暑い時期に締め切った密室や車内など高温になる場所に置いたままにしておくと、乾燥しきって変形してしまうこともあります。 竹刀の乾燥を防ぐため、月に1回程度「竹刀」に油分を補給するのもおススメです。特に冬場は乾燥が進みやすく、結果としてささくれや割れが起こりやすくなってしまいます。「竹刀油」や植物性油を吹きかけたり、布に染み込ませて塗り込み、最後はしっかりとふき取りましょう。失われた油分を補給してやることで、竹の持つ本来のしなやかさをより活かすことができるのです。

特に大会前は注意を!

「竹刀」には様々なサイズがあり、サイズ毎の規格が「全日本剣道連盟」という組織によって決められています。そして大会に出場する場合はこの規定を守らなければならず、公式戦などの場合は試合前に竹刀を検査する「竹刀計量」が行われることがあります。検査項目は主に「長さが規定よりも長くなっていないか」「重量が規定を下回っていないか」「竹刀の先革先端部、及び先端から8cmの部分の太さが規定を下回っていないか」「竹と竹の間に大きな隙間がないか」「正しく付属品が仕組まれているか」などです。 「お気に入りの竹刀が竹刀計量で不合格になり本番で使用できない」ということがないよう、大会前には特に入念に竹刀の検査を行うようにしましょう。特に、竹刀は天然素材の竹から作られているため、乾燥によって水分が失われ重量が変化することがあります。「買ったときは大丈夫だったから」と安心せず、特に重量は必ず再確認するようにしてください。

「面」のメンテナンス

「面」は人の頭部に密着して使われるものですので、汗を吸いやすく汚れもたまりやすい部位です。使用後にそのままにしておくと、イヤな匂いやカビの原因となったり、「面」そのものの痛みを早めてしまうことになってしまいます。稽古や試合が終わったら、すぐに「面」の内側、特に「内輪」の部分や耳の接する部分を清潔な手ぬぐいやタオルで拭いてあげましょう。

保管する時は

風通しの良い、直射日光の当たらないところに干しておくのが良いでしょう。直射日光は殺菌のために良い気がしてしまいますが、剣道防具などに使われることの多い紺反(藍染によって染められた綿生地)などは直射日光を浴びると退色してしまう特徴があります。

定期的な点検

「面布団」の頭頂部付近は最もたくさんの打突を受けることになるため、長く使用しているとへたってへこんでしまったり、表面の生地が裂けて芯材が露出してしまうことがあります。その状態では十分な衝撃吸収力を発揮できなくなってしまいますので、定期的に点検をするようにしましょう。その際には一緒に「面金」や「面縁(メンブチ)」も破損がないか確認しておきましょう。もしこのような破損が発生してしまった場合は、気付いた時点で修理や買い替えを検討してください。

「小手」のメンテナンス

「小手」は剣道防具の中でも最も傷みやすい箇所です。最も活発に動き、「竹刀」を操り、汗もたくさんかきます。そのため日々の使用後メンテナンスがとても重要です。まず他の剣道防具と同様、表面、内側共に乾いた手ぬぐいかタオルでしっかりと汗の水分をふき取りましょう。特に「手の内」は、鹿革や人工皮革が単独で張られているため、水分を残したままで放置してしまうと、素材の強度が落ちたり、ひどい匂いの原因になってしまったりします。水分をふき取った後はしっかりと「手の内」の皮革をもみほぐすことで、しわができてしまったり乾燥したときに固くなってしまうのをある程度防ぐことができます。

保管する時は

「小手」には紺反や人工皮革、天然皮革などが使われています。いずれも直射日光や過度の乾燥には強くありませんので、風通しの良い場所で直射日光を避けて乾燥させるようにしましょう。「手の内」は乾燥する際にどうしても固くなります。しわが残ったまま固くなってしまわないよう特に注意しましょう。

定期的な点検

まずチェックしなければならないのは、「手の内」の破れです。普段の稽古では意外と気づかないこともありますので、しっかりと確認しましょう。破れてしまったり皮革が薄くなってしまっているようであれば、早めの修理をお勧めします。破れたままの状態で使用を続けると、あっという間に穴が大きくなってしまい、握りにくさから悪い癖が身についてしまうこともあります。穴が大きくなってしまった場合や完全に破れてしまった場合は、「手の内」を丸ごと張り替えることも可能です。

「小手下」という選択もアリ

一般的に「小手」は素手に直接身に着けるものですが、「手の内」の滑りや打たれた際の痛みを抑えるために素手の上に身に着ける「小手下」と呼ばれる手袋のような道具があります。これなら汗を吸っても手軽に毎日洗濯でき、「竹刀」が「手の内」の中を滑ってしまうということもある程度防いでくれます。「手の内」に関してお悩みの方は一度試してみるのも良いかもしれません。

「胴」のメンテナンス

「胴」はほかの剣道防具と違い「布団」部分がありませんので汗を吸い込みにくいものですが、胴胸は多くの場合、皮革や人工皮革で作られています。これらは水分に弱いので、使用後は乾いた手ぬぐい、タオル等で汗の水分をふき取ってあげるようにしましょう。

保管する時は

風通しの良い日陰に保管するようにしましょう。多くの胴胸に使われている皮革や人工皮革は、過度の乾燥にも弱いものですので、直射日光ではカピカピになってしまう恐れがあります。

定期的な点検

胴紐や乳革(胴に胴紐を取り付けるための輪になった部分)は、切れかかっていないか、ほつれてしまっていないかなどを定期的に点検することをおすすめします。

「垂」のメンテナンス

一番汚れが付きにくそうな「垂」ですが、実はたくさんの汗を吸い込んでいます。特に腰と接する「腹帯」部分は、「剣道着」の中で身体を伝った汗が集中する場所になりますので、使用後はほかの剣道防具と同じように、乾いた手ぬぐいかタオルでしっかりと汗をふき取ってあげてください。またねじれてシワになりやすい「垂紐」はしっかりとしシワを伸ばしてから片付けるようにしましょう。

保管する時は

「垂」は全面が紺反、鹿革もしくは天然皮革で覆われており、ほぼ全体に「芯材」が込められています。そのため内部に汗が染み込みやすく、汗をかいた後は十分な乾燥が必要です。乾燥させる際は風通しの良い日陰で、直射日光を避けて干すようにしましょう。

定期的な点検

「垂」の中でも特に痛みが出やすいのが「大垂」「小垂」の外側ヘリ部分と「垂紐」です。「大垂」「小垂」の外側ヘリ部分には補強のための皮革が張られているのが一般的ですが、「足さばき」によって「袴」と常に擦れ合っているため、ヘリ部分が破れたりすることがあり、最悪の場合、中の「芯材」が出てきてしまうこともあるのです。そうなる前に修理をするか、新しいものへの買い替えを検討しましょう。また「垂紐」は腰に一周させて結ぶことになりますが、ある程度幅があるものですので腰に回す際、結ぶ際にどうしてもしわになってしまい、そのままの状態で使用を続けるとしわ部分に破れが生じてしまいます。軽く濡らしてシワを取り除くなどのお手入れを心がけましょう。

「剣道着」「袴」のメンテナンス

最近広く使用されている「ジャージ剣道着」や「ジャージ袴」、「テトロン(TR)袴」などの場合、基本的には洗濯機での洗濯が可能です。色落ちはほとんどありませんが、気になるようであれば他の衣類とは分けて洗濯をするようにしましょう。また、洗濯する際は洗濯ネットなどに入れておくと余計な毛玉ができにくく、型崩れも起こしにくくなります。

「袴」のヒダについて

剣道の「袴」にはヒダがついています。SHINBUがラインナップする全ての袴には、このヒダが崩れにくくなるよう裏側のみ、もしくは表裏両面にステッチ加工が施してあるため、そのまま洗濯機での洗濯が可能です。また、乾燥させる際に軽く整えてあげればアイロン掛けも不要です。

「藍染」綿反の「剣道着」「袴」

洗濯をする際は、きれいに折りたたんだ状態のまま手洗いで浸け置きを行うことをおすすめします。「藍染」は特に使い始めたばかりでは色落ちが激しくシワもできやすいので、洗濯機を使用すると美しい発色が急速に失われて一部だけが強く色落ちしてしまったり、ヒダが崩れてしまう場合があるためです。

「剣道着」「袴」の乾燥

洗濯した後の「剣道着」「袴」は、素材や色に関わらず必ず陰干しをするようにしましょう。直射日光に当てて乾燥させてしまうと、色あせが起こったり、黄ばんで見栄えが悪くなったりしてしまいます。また「袴」はヒダの型崩れが起こらないよう、手で形を整えてから乾かすと良いでしょう。アイロンを掛けることも可能ですが、高温だとテカリが出てしまったり、素材によっては溶けてしまうこともあります。低温に設定し、手ぬぐいなどであて布をして優しくアイロン掛けをするようにしてください。

「サポーター」のメンテナンス

剣道用サポーターにはいくつかの種類がありますが、形が崩れてしまったりクッション材の位置がずれてしまっては、「ケガを防止する」という本来の役目が十分に果たせなくなってしまいます。そのため、洗濯機での洗濯は避け、浸け置き洗い・手洗いをオススメします。浸け置き洗いをする場合は、必要に応じて衣類用洗剤を水かぬるま湯に溶かし、10~15分程度全体が浸かるようにつけ置きし水で洗剤を洗い流します。乾燥させる際は形とクッション材の位置を整えておきましょう。